メガネ店で働いていると、遠近両用レンズについてのご相談をよくいただきます。「昔作ったけど使えなかった」「高いのと安いのって何が違うの?」「どんなフレームを選べばいいの?」——今回はそんな疑問に、スタッフ目線で正直にお答えしたいと思います。
遠近両用って、そもそも何?
遠近両用レンズって、1枚のレンズで遠くも近くも見えるように作られたレンズのことなんです。レンズの上の方に遠くを見るための度数、下の方に手元を見るための度数が入っていて、境目なくなめらかに度数が変化していく仕組みになっています。これを「累進屈折力レンズ」、略して「累進レンズ」といいます。
昔は下部の近用ゾーンがはっきりわかる、境目ありの「バイフォーカル」タイプもありました。今も使っている方はいるんですが、見た目に年齢が出やすいこともあり、今の主流はやっぱり境目のない累進レンズですね。
とはいえ、境目ありの方が見やすいという方も一定数いらっしゃいます。どちらが合うかは、その方によって違うんですよね。

よくある「使えなかった」の理由
「昔作ったけど結局使えなかった」という方、実はとても多いんです。
原因として多いのは、歪みへの対応と視線の動かし方です。
遠近両用レンズは、構造上レンズの両サイドに歪みが出てしまいます。普通の単焦点レンズと比べるとこの歪みが大きく、視線の使い方に少し癖があるんです。この歪みゾーンを知らないまま使い始めると「見づらい」「なんか酔う」ってなりやすくて……。
もうひとつ大事なのが加入度数——遠用と近用の度数の差のことです。この差が大きいほど歪みが強くなります。
そしてここがポイントなんですが、価格が上がるほど歪みは少なくなるんです。遠近両用レンズは1万円以下から20万円近いものまで、価格の幅がすごく広いんですよね。見た目はほとんど変わらないのに何が違うかというと、歪みの少なさ=設計の質なんです。高いレンズほど歪みが少なく、慣れやすい設計になっています。
「初めてだから安いもので試してみよう」って思う気持ち、すごくわかります。でも初めてでも加入度数が大きい方は、むしろ少し良いレンズを選んだ方が慣れやすいことが多いんです。
価格が高いと何が違うの?
高いレンズほどオーダーメイド度が高くなります。
目からレンズまでの距離や、フレームのそり角など、細かいフレームデータをメーカーに送って、その方・そのフレーム専用に設計・製作してくれるんですよね。各メーカーさんが日々研究を重ねていて、視線の動きに合わせた無理のない度数変化を追求しています。
昔の遠近両用と比べると、設計は年々進化していて、使いやすさはじわじわ上がってきていると感じます。誰でも高いレンズじゃないといけないわけではないんですが、加入度数が大きい方は、少し予算をかける価値があると思っています。

フレーム選びの落とし穴
遠近両用で意外と見落とされがちなのがフレームの縦幅です。
縦幅が3cm以下の細いフレームだと、近用ゾーンがレンズに入りきらなくて、手元が見づらくなってしまうことがあるんです。おしゃれで気に入ったフレームでも、遠近両用には向いていない場合があるので、ここは要注意ポイントです!
縦幅にある程度ゆとりのあるフレームの方が使いやすいことが多いです。ただ大きすぎるのもバランスが崩れてしまうので、専門スタッフに相談しながら選ぶのがおすすめですよ。
「階段が怖い」「足元がぼやける」問題
「階段を降りるとき怖い」「床を見るとぼやける」という声、けっこうよく聞きます。
これはレンズ下部の近用ゾーンを通して足元を見てしまうから起こることなんです。視線の使い方に慣れてくれば解決することが多いんですが、最初はちょっとびっくりしますよね。購入のときにスタッフからしっかり使い方を教えてもらうことをおすすめします!

スタッフからの正直な本音
遠近両用は早めに始めるのがおすすめです。
老眼を感じ始めた頃はまだ加入度数が小さいので、このタイミングから使い始めると歪みも少なく慣れやすいんです。少しずつ度数が上がっていくのにも自然に対応できます。
「ずっと我慢してきた」という方が初めて遠近両用を作るとき、すでに加入度数が大きくなっていて苦労されるケースがとても多くて……。それがちょっと切なくて、早めに伝えられたらな、といつも思っています。
そして最後に、いちばん伝えたいことを。メガネ店に来るとき、ぜひ「どんな場面で困っているか」「どんな時に使いたいか」「使う頻度はどのくらいか」などを伝えてほしいんです。細かく教えてもらえるほど、より合ったものをご提案できます。
相性もあるかもしれませんが、スタッフは全員、あなたに合ったメガネを一生懸命作りたいと思っています。ぜひ、諦めずに何でも話しかけてみてくださいね。


